2003年12月27日、イラクのポーランド軍担当地域にあるカルバラ近郊のブルガリア軍基地、市の中心の国際師団の兵站基地、イラク警察の監視所のある市当局の建物を、4人がトラックで自爆攻撃を行なった。4人のブルガリア人兵士、2人のタイ人兵士を含む13人が現場で、5人のブルガリア人が病院で死亡した。約200人の負傷者のなかには、2人のポーランド軍文民職員もいる。

 以下に、ポーランド紙の分析を紹介する。 
 

   パヴェウ ・ ヴロンスキ

外交の終わり?
――カルバラにおける土曜日の襲撃はポーランドの司令部を劇的なディレンマの前に立たせている――

 カルバラで襲撃したのは誰か? 仮説はいくつかある。ポーランド旅団の司令官マレク ・ オイジャノフスキ将軍は、襲撃の犯人は外部から、シーア派地帯の外から来た者たちだ、と主張する。カルバラの人びとも、「十字軍の連中」 と戦うためにイラクにやってきた、はっきりしない 「イラン人」 とか狂信者を指して、同じように言っている。バグダッドの分析家たちは、アメリカ人によって北部から追い払われたイラク人の過激派が、南部に移動し、よりソフトなターゲット、つまりこれまで安全だった地帯の兵士や当局に集中している、と即座に主張していた。

 これらすべてのテーゼは正しいかもしれないが、欠陥をもっている。あまりに楽観的であり、身構えることをやめさせてしまうのだ。なぜなら、それらのテーゼが意味するのは、危険の源はどこか遠いところに、われわれの責任領域の外部にある、ということだからだ。

 カルバラにおける襲撃は、戦争のあとで行なわれた襲撃のうちで最大のものだったわけではない。10月にはバグダッドで、自殺者の運転する5台の自動車が爆発した。約50人が死んだ。10月にはまた、自殺者の運転する爆発物を満載したトラックの爆発によって、19人のイタリア人ライフル部隊員が殺された。バグダッドから北のいわゆるスンニ派の三角形 地帯における襲撃は、日常茶飯事になっている。

 だが、土曜日の襲撃は、シーア派によってコントロールされている地域における初めてのものであり、襲撃者は4台のトラックの攻撃を調整することに成功したのだ。それらのトラックの運転手たちは、町の配置を知っており、どの道に乗り入れることができるかを知っており (カルバラに来たことのある者は、それがそう簡単ではないことを知っている)、事前に出会い、トラックを準備したのに違いない。必ずや、バグダッド界隈からやってきた者たちではないに違いない。なぜなら、途中にはたくさんの見張りが立っていて、通り抜けるのは困難だからだ。攻撃の過程で、彼らは、カラシニコフ銃と榴弾砲でブルガリアの基地を撃った。爆発のあと建物の廃墟を探していた兵士も撃たれた。襲撃者たちは、ポーランドの司令官の日程を正確に知っていたと思われる (襲撃の前、司令部は、事故で死んだわが兵士を見送っていたのだ)。彼らは、祭日と関連した警戒心の弱まりを当てにすることができた。最後に、師団に参加している諸国の多くで、イラクに兵隊を送るべきか否かについての議論が続いていること、もし犠牲者が出れば、政府がこのような決定を行なうのを食い止める最良の論拠になるだろうということを、彼らは知っていた。

 これまで、カルバラとその周辺の安全は、マレク ・ オイジャノフスキ将軍の見事な外交のおかげで、うまく保証されてきた。彼は、地元のシーア派教徒と非常によい関係を結んだ。協定は単純なものだった。イラク人の部族指導者は、多国籍軍の兵士に対する同郷人の反対行動を食い止め、脅威について情報を提供するよう努力してきた。ポーランドの司令部 の方はと言えば、町を恒常的にコントロールし、イラク人の家を頻繁に捜索するという、大変骨の折れる安全確保の方法を放棄した。協定は、土曜日まで続いていた。

 なぜなら、カルバラでは、この協定の傘の下で、非常によく張られた抵抗運動のネットワークが発展し、誰もそれをコントロールしていなかった、ということをすべてが物語っているからだ。ブルガリアの軍諜報機関の司令官プラメン ・ ストゥデンコフは、少なくとも2回、襲撃について警告した、と主張している。しかし、数十人が関与したに違いないような規模の攻撃のあとで、たった5人の被疑者が逮捕されたに過ぎないということは、カルバラにおける国際旅団の諜報機関が、地元の抵抗運動について、あまり多くは知らないのだということを証明している。

 土曜日の攻撃は、多国籍旅団の兵士たちが、攻撃に対してよく準備されていた、といういうことを示している。損失が少なかったということをとってみても、そのことが証明されている。野営地では、数週間前から最高度の警戒態勢が続いており、(たとえばナシリアにおけるように) いかなる自動車も基地にたどりつく、ということはなかった。

 しかし、ポーランドの司令部は、劇的なディレンマの前に立たされた。シーア派とのこれまでの協定を維持し、同様な襲撃に晒される決心をするか、それとも、カルバラおいてテロリストの積極的な探索を開始するか。しかし、そのことは、〔家宅〕 捜索、追跡、そして地元住民との紛争を意味するのだ。

                                                   (「ガゼタ ・ ヴィボルチャ」、2003.12.30)