１００人のもっとも影響力あるポーランド人

　ポーランドの週刊誌 「プシェグロント〔Przeglad〕」（Nr ３、２００２．１．２１）が、「１００人のもっとも影響力あるポーランド人」 （ローマ教皇をはじめとする在外ポーランド人を除く） を発表した。興味深い資料なので、紹介することにしたい。

　ただし、注意すべき点がいくつかある。
　第１に、このランキングは、世論調査などの一応 「客観的」 な手続を経て作られたものではなく、編集部の言わば 「独断と偏見」 の産物にすぎない。したがって、順位の細かい高低をあげつらうことには意味はない。
　第２に、政治家についての評価は、短期的な性格をもっている。とくに、２００１年９月の結果として、連帯選挙行動 （AWS) と自由同盟 （UW) との連立政府 （２０００年６月からはAWS単独） に代わって、民主左翼同盟 （SLD) ・ 労働同盟 （UP) ・ ポーランド農民党 （PSL) の連立政府が成立したことが、（　） 内に示された１年前のランキングとの違いにストレートに反映している。また例えば、このランキングは 「自衛｣ 党首のレッペルが１１月末に国会副議長を解任されたあとの段階のものであるが、解任前であれば、彼の影響力ははるかに高く評価されたことであろう。
　これらは 「プシェグロント」 自身が認めている点であるが、第３に、「プシェグロント」 が左派系の雑誌であること、したがって、一般的には現政府により好意的、前政府により批判的な傾向をもっていることを念頭に置いて読む必要がある。
　第４に、「影響力」 というとき、その人の就いているポストそのものから発するものと、それに加えて、またはそれとは別に、その個人から発するものとがありうる。例えば、クファシニェフスキ大統領の影響力は、大統領としての権限がその基礎にあることは疑いないが、実際には法的権限以上の影響力をもっている、と評されている。

　にもかかわらずこのランキングが興味深いのは、政治家の浮沈もさることながら、むしろ、政治家以外の顔ぶれや、政治家でも大臣など表の顔ではなく 「裏方」 の実力者が挙げられている点である。政界の表舞台を追っているだけでは窺うことのできないポーランド社会の広義の 「権力構造」 という問題に気づかせてくれるからである。

　なお、「プシェグロント」 では、個々の人物の簡単な経歴とともに、どのような分野で、なぜ影響力があると判断したかについてのコメントが付されており、これが重要なのであるが、以下ではほとんど省略してある。他方、ポーランド政治に馴染みのないホームページ読者のために、補った部分もある。
　また、姓名の表記ではポーランド文字は用いられていないので、和訳から正確な綴りを推測していただきたい。分野を示す色分けは、元の記事にはない。
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２００２．２．３）
　　ＢＡＣＫ