ロシアの法　Ｗｈｏ’ｓ　Ｗｈｏ　（Кто есть Кто）

　各種の情報を総合して作成しました。
年月 ・ 職名など、 不正確な点が含まれている可能性がありますので、直接の引用はご遠慮ください。
　

　アレクセーエヴァ、リュドミラ = ミハイロヴナ 〔АЛЕКСЕЕВА Людмила Михайловна〕
　モスクワ=ヘルシンキ=グループ議長

　１９２７年７月、クリミア生まれ。第２次世界大戦 （大祖国戦争） 中、看護婦のコースを終え、前線に志願したが、年齢を理由に受入れれられず。１９５０年、モスクワ大学歴史学部を卒業。１９５２年、ソ連 邦共産党に入党。１９５６年、モスクワ経済統計大学大学院を修了。１９５９〜６８年、出版社 「ナウカ」 の考古学=民族学編集部の編集者として働く。１９６６年、ダニエルとシニャフスキーを擁護する活動に参加。１９６４年４月、ソ連 邦共産党から除名され、職場を解雇される。１９６８〜７２年、ソ連で最初の権利擁護誌“Хроника текущих событий”の最初のタイピストを務める。１９７０〜７７年、ソ連 邦科学アカデミー社会科学学術情報研究所 〔ИНИОН〕 研究員。１９７４年、ソ連邦最高会議幹部会令にもとづき、「反ソビエト的著作物の系統的な作成および流布」 のかどで公式に警告を受ける。１９７６年はじめ、ユーリー=オルローフの提案により、モスクワ=ヘルシンキ=グループ 〔МХГ〕 に加わり、МХГの文書の編集者・保管者となる。МХГの依頼によりリトアニアに赴き、カトリック信者である７名の生徒の中学校からの排除についての報告書を作成。
　１９７７年２月、国外移住を余儀なくされ、アメリカに移住。МХГの在外代表となる。１９７７〜８０年、「ソ連邦における異論派の歴史」 （“История инакомыслия в СССР.Новейший период”）を執筆。 Ｖｏｉｃｅ　ｏｆ　Ａｍｅｒｉｃａなどで人権問題の番組を担当。１９８０年代後半、アメリカ代表団の一員として全欧安保協力会議のレイキャビック ・ パリの会議に参加。１９８９年夏、復活したМХГの在外会員に。
　１９９３年、ロシアに帰国。１９９６年５月、МХГ議長に選出される。１９９８〜２００４年、国際ヘルシンキ連合会長。ロシア連邦大統領付置人権委員会委員。２００４年１１月、 市民社会制度発展=人権問題評議会への改組により、その構成員に。 ガッリ=カスパーロフ、ゲオルギー=サターロフとともに、２００４年１２月に結成された全ロシア市民会議 〔ВГК〕 の共同議長に。２００８年１月、ВГКの非政治性をめぐってカスパーロフと対立し、共同議長を辞任。

　アレクセーエフ、セルゲイ = セルゲーエヴィチ 〔АЛЕКСЕЕВ Сергей Сергеевич〕
  私法学者

　 １９２４年７月、オリョール生まれ。スヴェルドロフク法科大学卒業、同大学院修了。１９５２年、スヴェルドロフスク法科大学民法講座助手、次いで上級講師、１９５４年に助教授、１９６２年に教授。１９６１〜８８年、同大学国家と法の理論講座主任。 １９７７年、ソ連邦国家賞受賞。１９８７年、ソ連邦科学アカデミー通信会員。１９８８年、ソ連邦科学アカデミー （のちロシア科学アカデミー） ウラル支部に新設された 「哲学と法研究所」 所長 （１９９５年まで）。
　１９８９年３月、新しい原則にもとづく人民代議員選挙において、ソ連邦科学アカデミー・学協会の枠からソ連邦人民代議員に選出され、５月、ソ連邦人民代議員大会によって最高会議代議員に選出される。地域間代議員グループに所属。１９９０年まで、最高会議立法=適法性=法秩序問題委員長。１９８９〜９１年、ソ連邦憲法監督委員会議長。１９９１年８月 ２０日、モスクワにいた憲法監督委員会の他の４名の委員とともに、「国家非常事態委員会」 とその一連の行動について、法的疑義を指摘した声明を公表 （スピリドーノフ=タス通信社社長の介入を受け、 緩和された表現のものにされた）。憲法監督委員会は、１２月のソ連邦解体についても、法的根拠がないという見解を表明。
　１９９１年１０月以降、私法研究のセンターを設立することに尽力し、１９９２年７月、大統領付置私法研究センターの設置にこぎつける。民法典の起草に参加。１９９１年末、ロシア民主改革運動の憲法草案起草作業グループのメンバーとなり、「アレクセーエフ−ソプチャーク草案」 として知られる憲法草案を起草。法と人権の優位の原則のほか、法律上の根拠としかるべき手続なしの国内における正規軍の利用の禁止などを盛り込む。１９９３年、人権問題大統領評議会のメンバーとなるが、チェチェンにおける軍事行動に抗議して辞任。

　イヴァノーフ 、アントン = アレクサンドロヴィチ 〔ИВАНОВ Антон Александрович〕
  最高仲裁裁判所長官

　１９６５年７月、レニングラード州ガッチナ生まれ。１９８７年、レニングラード大学法学部を卒業。メドヴェーヂェフ大統領と同級。１９９０年、同大学大学院を修了。１９９０年、法学部民法講座助手、次いで助教授。１９９０年、国有小企業  「ウラン」  の共同設立人。１９９１〜９４年、法律雑誌 「法秩序」 の編集者。１９９４年、法律顧問会社 「バルフォルト」 の共同設立人。１９９４〜９６年、「ソユーズコントラクト」 社法務部長。１９９７〜１９９９年、司法省サンクトペテルブルグ司法管理局長。２００４年７月、「ガスプロム-メディア」 社社長第一代理。
　２００４年、最高裁判官資格審査会によって最高仲裁裁判所長官として推薦され、２００５年１月、長官に任命される。 ２００８年５月、モスクワ管区連邦仲裁裁判所所長リュドミラ=マイコフの職務停止を最高仲裁裁判所に申立て。モスクワ市政府の協力のもとで、一般市民には利用できない方法で有利な住宅取引を行なった、という理由。２００９年２月、最高裁判官資格審査会、マイコフの罷免を決定。

　ヴァリャーヴィナ、エレーナ = ユーリエヴナ 〔ВАЛЯВИНА Елена Юрьевна〕
　最高仲裁裁判所長官第一代理

　１９６６年８月、レニングラード生まれ。１９８８年、レニングラード大学法学部を卒業。１９８８〜２００５年、同大学大学院で法学准博士号を取得。学位論文のテーマは 「民法の主体としての宗教団体」。サンクトペテルブルグ大学法学部民法講座助教授。１９９３年、サンクトペテルブルグ市庁住宅政策部主任専門員。１９９５年、不動産会社«Экотон»法務部長。１９９７年１２月、サンクトペテルブルグ市司法局長アントン=イヴァノーフの第一代理に任命される。２０００〜０５年、サンクトペテルブルグ弁護士会員。
　２００５年１０月、最高仲裁裁判所長官第一代理に任命される。イヴァノーフ長官が推し、裁判官歴のないヴァリャーヴィナを最高裁判官資格審査会が推薦したのを不服として、競争相手だったモスクワ州仲裁裁判所所長代理のドミートリー=フルソフが連邦最高裁に提訴。最高裁民事部、次いで幹部会で敗訴したため、裁判官の地位についての法律の憲法適合性の審査を求めて連邦憲法裁判所に申立て。２００６年７月１２日、連邦憲法裁は 、訴訟要件を満たさないとして申立てを却下する決定。
　２００８年５月、「最高仲裁裁判所を支配しているのは、まさにボーエフだ」、「ロシアには独立した裁判所はない。あるのはボーエフに従属した裁判所だ」 と発言したジャーナリストに対して、大統領府人事=国家褒章問題調査官ボーエフが起した名誉毀損による損害賠償訴訟の証人として出廷し、ボーエフが 「事件についての決定を変更するよう要求し、拒否した場合はその後のキャリアに影響すると脅した」 と証言。その後、ボーエフは訴えを取り下げる。

　ウスチーノフ、ヴラヂーミル=ヴァシーリエヴィチ 〔УСТИНОВ Владимир Васильевич〕
　南部連邦管区連邦大統領全権代表、元連邦司法相、元連邦検事総長

　 １９５３年２月、ハバーロフスク地方ニコラエフスク=ナ=アムーレ生まれ。１９６８〜７２年、クラスノダール地方コレノフスク砂糖工場旋盤工。１９７２〜７４年、兵役。１９７８年、ハリコフ法科大学を卒業。１９７８〜８３年、クラスノダール地方コレノフスク地区検察庁修習生、検事補、上級検事補。１９８３年、クラスノダール地方ヂンスカーヤ地区検事代理、同地方グリケヴィチ地区検事。１９８５年、ソチ市ホスチンスキー地区検事。１９９２年、ソチ市検事。１９９４年、クラスノダール地方検事第一代理。１９９７年１０月、連邦検事総長代理。１９９８年６月〜１９９９年４月、最高検察庁北カフカース連邦保安=民族間関係法執行監督総管理局長。北カフカース地域連邦構成主体法秩序維持機関調整会議議長。１９９９年７月、スクラートフ検事総長の停職中、 チャーイカの後を受けて検事総長職務代行。２０００年５月、連邦検事総長。２００１年、検察機関から取調べ機能を奪う連邦大統領府長官代理 （当時） ドミートリー=コーザクの提案を退ける。２００３年、テロとの闘いをテーマに、博士号を取得。２００５年４月、連邦検事総長に再任。２００６年６月、連邦会議、「自らの希望」 を理由とするプーチン大統領の提案により、検事総長職から解任。同月、連邦司法相。２００８年５月、南部連邦管区連邦大統領全権代表。

　エゴーロヴァ、オーリガ = アレクサーンドロヴナ 〔ЕГОРОВА Ольга Александровна〕
　モスクワ市裁判所所長

　１９５５年生まれ。学校を卒業したあと、モスクワ市の地区人民裁判所で働きながら全連邦通信制法科大学を卒業。ただちに、地区裁判所判事となる。１９８８年、モスクワ市裁判所判事に。１９９９年２月、モスクワ市裁判所所長代理に任命される。同年１０月、所長職務代行に。２００１年１月、プーチン大統領により、所長に任命される。 裁判官人事に影響力を発揮し、裁判官を招集した会合などをつうじて、事件処理の効率化を図った、とされる。
　２００３年７月、モスクワ市裁判所判事 （当時） オーリガ=クヂェーシキナの担当する事件に介入したとされる。クヂェーシキナによって裁判官資格を剥奪するよう求める申立てが行なわれたが、最高裁判官資格審査会は取上げなかった。
　２００８年６月、最高裁判官資格審査会、モスクワ市裁判所所長を公募。メドヴェーヂェフ大統領による最初の重要な裁判官人事として注目され、対立候補が出るのではないかと観測されたが、結局対立候補はなく、９月、最高裁判官資格審査会は エゴーロヴァの推薦を決定。１０月、メドヴェーヂェフによって改めて所長に任命される。

　クズネツォーフ、ヴァレンティン = ヴァシーリエヴィチ 〔КУЗНЕЦОВ Валентин Васильевич〕
　最高裁判官資格審査会議長、連邦最高裁判所判事

  １９５１年３月、クリミア州エヴパトリア市生まれ。サラトフ法科大学卒業。ヴォルゴグラード=トラクター工場法律顧問。１９７８年、ヴォルゴグラード市トラクトロザヴォード地区裁判所判事。１９８１年、ヴォルゴグラード州裁判所判事。１９８５年、ロシア共和国最高裁判所判事。１９９３年、連邦最高裁判官資格審査会員。１９９６年、同会議長代理。２０００年、同会議長。

　グーセヴァ、エレーナ=ヴァレーリエヴナ 〔ГУСЕВА Елена Валерьевна〕
　ヴォルゴグラード州中央地区裁判所判事

　２００５年６月、ヴォルゴグラード州中央地区裁判所長 （当時） イーゴリ=プーチキン、事件審理の 「質を改善」 するために、毎夕、所長のもとに出頭し、事件 （とくに国家権力機関 ・ 役職者が当事者である事件や社会的に重要な事件） の審理の状況について協議し、毎朝、全員の前で審理状況について報告するよう命ずる。１６名の裁判官のうち、グーセヴァのみが裁判官の独立に反するとして参加を拒否。裁判官資格審査会による罷免の試みが３回行なわれたが、実現せず。２００８年５月、裁判官資格審査会の構成員が交替。２００８年１０月、ヴォルゴグラード州裁判官資格審査会、グーセ ヴァの罷免を決定。１２月、連邦最高裁民事部、裁判官資格審査会の決定の取消しを求めたグーセヴァの申立てを棄却。ヴォルゴグラード州裁判官資格審査会のポヴォロツカヤ議長、裁判官は 「裁判システムの一部であることを忘れてはならない。われわれは皆、ひとつの鎖の輪なのであるが、グーセヴァ判事は 〔ひとつの輪を〕 構成する環ではなく、独立した裁判官であると自分を見なしている」 と主張。２００９年４月、連邦最高裁破毀部、裁判官資格審査会の決定を取り消し、グーセヴァを復職させる。ヴォルゴグラード州中央地区裁判所執行部は、連邦最高裁破毀部は裁判官に報告させるという方法を違法としているわけではない、と認識。

　クヂェーシキナ、オーリガ 〔КУДЕШКИНА Ольга〕
　モスクワ市裁判所元判事

  ２０００年１２月、モスクワ市裁判所判事に任命される。
　政府高官の関与する家具密輸事件を捜査していた内務省特別重要事件取調官ザイツェフが職権踰越の容疑で刑事訴追され、２００２年９月のモスクワ市裁判所による無罪判決が、２００３年１月、連邦最高裁によって差し戻された事件の担当となる。 ２００３年７月、最高検察庁の働きかけを受けたエゴーロヴァ所長に合議室から呼ばれ、審理の経過について問いただされるとともに、事件から外される。その後、国家会議議員選挙に立候補。有権者との懇談のさいに、エゴーロヴァによる介入について発言。ジャーナリストが同席していたことから、２００３年１２月、ラジオ 「モスクワのこだま」 で告発。「選挙目当て」 とする最高検の論評を受け、国家会議議員への立候補 は取り下げる。最高裁判官資格審査会に、エゴーロヴァから裁判官資格を剥奪するよう求める申立て。一方、モスクワ市裁判官評議会が、「裁判官の名誉と尊厳を傷つけた」 との理由でク ヂェーシキナを 罷免するよう市裁判官資格審査会に申立て。 ２００４年５月、モスクワ市裁判官資格審査会が、裁判権の権威を損なうがゆえに内部問題を外部に漏らす権利はない、という理由でクヂェーシキナの罷免を決定。。クヂェーシキナ、市裁判官資格審査会の決定に対する不服申し立てを （エゴーロヴァが所長を務める市裁判所ではなく） 最高裁で審理することを求めたものの 認められず、２００４年１２月、市裁判所は請求を棄却。２００５年１月、連邦最高裁もクヂェーシキナの申立てを棄却。 一方、エゴーロヴァの行為は取上げられずに終わる。２００５年３月、モスクワ市裁判所の状況について、プーチン大統領に公開書簡。
　２００９年２月、クヂェーシキナの申立てを受けた欧州人権裁判所が、４対３でクヂェーシキナの表現の自由の侵害を認める判決。NEW ２００９年１２月１８日、モスクワ市裁判所、クヂェーシキナの復職請求を棄却。

　コノヴァーロフ、アレクサンドル = ヴラヂーミロヴィチ 〔КОНОВАЛОВ Александр Владимирович〕
　連邦司法大臣

　１９６８年６月、レニングラード生まれ。１９９２年、サンクトペテルブルグ大学法学部を卒業。学位論文 「民法における占有および占有保護」 で法学准博士号を取得。１９９２年、サンクトペテルブルグ市ヴィボルグ地区検事補。１９９２〜９４年、サンクトペテルブルグ市ヴィボルグ地区検察庁取調官。１９９４〜９７年、サンクトペテルブルグ市検察庁連邦保安法執行監督部検察官、１９９７〜９８年、サンクトペテルブルグ市モスクワ地区検事代理、２００１〜０５年、サンクトペテルブルグ市検事代理、第一代理。２００５年２月 〜１１月、バシキール共和国検事。２００５年１１月〜２００８年５月、沿ヴォルガ連邦管区連邦大領領全権代表。２００８年５月、連邦司法大臣。２００８年７月、自由・安全・司法分野における欧州連合との協力にかんする連邦大統領特別代表。

　コーヴレル、アナトーリー=イヴァノヴィチ 〔КОВЛЕР, Анатолий Иванович〕
  欧州人権裁判所判事

　シドレーンコ、ユーリー = イヴァノヴィチ 〔СИДОРЕНКО Юрий Иванович〕
　連邦裁判官評議会議長、連邦最高裁判所判事

　１９４５年生まれ。１９７４年、レニングラード大学法学部を卒業。レニングラードの地区裁判所判事、所長を経て、１９９３年から連邦最高裁判所判事。連邦裁判官評議会幹部会員の最初の構成員に。１９９５年、連邦裁判官評議会議長。１９９６年、２０００年、２００４年、２００８年にそれぞれ再選。連邦大統領付置司法改善問題評議会員、連邦大統領付置連邦裁判官候補事前審査委員会委員。

　シュミット、ユーリー = マルコーヴィチ 〔ШМИДТ Юрий Маркович〕
　弁護士

  １９３７年５月、レニングラード生まれ。父マルク=ラフミリエヴィチ=レーヴィンは、創設者のひとりとしてかかわった社会民主青年センターの活動への参加の容疑で１９２９年に逮捕されて流刑を言渡され、１９３６年までシベリアで暮らす。その後、サラトフの統計局でエコノミストとして働くことを許されたが、シュミットが生まれてから３週間後に再び逮捕され、自由剥奪８年の刑を言渡される。刑期は繰り返し延長され、１９５５年に釈放される。母ナターリア=カルロヴナ=シュミットは、１９３４年、キーロフ暗殺後の抑圧の時期に逮捕されてシベリアに 追放され、レーヴィンと知り合う。１年後、レニングラードに戻ることを許される。
　１９６０年、レニングラード大学法学部を卒業。１９６０年、レニングラード市弁護士会の修習生、次いで弁護士。１９６０年代は、国選弁護人として多くの殺人事件の訴訟に参加。駆け出しの弁護士のときに早くも 、幼い子を殺した容疑で訴追され、のちに真犯人が見つかったオルローヴァの事件の打切りを勝ち取る。その後、経済的性格をもつ刑事事件を専門に、レニングラード以外の土地でも弁護活動を行なう。異論派運動に近づき、政治裁判などについての論文を書き、父親とともにサミズダートを流布。その結果、１９６８年に家宅捜査を受け、「アクセス」 の許可がないことを理由に 「異論派」 事件を扱うことを許されなくなる。
　１９８６年、自らの意思により弁護士会を辞める旨の声明を書くことを求められる。根拠は、取調官の圧力のもとでなされた依頼人のひとりの申立てで、代償として、金銭の強要の容疑でシュミットを訴追した事件の判決を軽くする約束がなされた。これを拒否したのに対し、弁護士会から除名されたが、早くも１９８７年末には弁護士会に復帰し、シュミットに対する容疑が虚偽であることが認められた。１９８０年代末から、政治的要素をともなう多くの刑事訴訟に参加。１９９１年、人権擁護ロシア弁護士委員会を設立。１９９１年、グルジア最高裁で、当時の南オセチア共和国の指導者トレズ=クルムベコフを弁護。１９９２〜９３年、カリーモフ大統領を誹謗した容疑で訴追されたジャーナリストをウズベキスタン最高裁で弁護。 １９９６〜９７年、エストニア政府が強制退去させようとした軍を退職したロシア人の年金生活者の権利を擁護する事件を担当。１９９６年、戦争が行なわれており、１９８０年にソ連と協力した人びとが追及されているアフガニスタンに出入国管理庁が追放しようとしたアフガニスタン人民民主党員である旧アフガニスタン将校の利益を代表。国家会議議員ガリーナ=スタロヴォイトヴァが殺害されたあと、刑事事件で遺族の弁護人を務める。１９９６年２月から、国家反逆の容疑で訴追さたノルウェーの環境団体 “Ｂｅｌｌｏｎａ” の職員アレクサンドル=ニキーチンの事件を担当。１９９９年１２月、サンクトペテルブルグ市裁判所、ニキーチンに無罪判決。ニキーチン事件の過程で、被告人に選任された弁護人を、国家秘密をなす情報へのアクセスが認められていないことを理由に事件から排除するのは違憲との連邦憲法裁判所の判決を勝ち得る。２００３年夏、ペルミ州裁判所において、公表された記事の中で国家秘密を漏洩した容疑で連邦保安庁によって訴追された地元紙の２人のジャーナリストの弁護を行ない、無罪判決を勝ち得る。２００４年、殺害された国家会議議員セルゲイ=ユーシェンコフの家族の弁護人を務める。
　２００４年４月、ユーコス社元社長ミハイル=ホドルコフスキーの弁護人となる。２００５年１０月、連邦登記庁、サンクトペテルブルグ弁護士院にシュミットの弁護士資格剥奪を申し立て。訴訟を挫折させる目的で共謀した、という理由。２００５年１１月、サンクトペテルブルグ弁護士院資格審査委員会、職業倫理規範の違反を認めず、申立てを棄却。
　「別のロシア」 大会によって選出されたロシア連邦国民会議の議員。

　スタヴィーツカヤ、アンナ 〔СТАВИЦКАЯ Анна〕
　弁護士

　１９７２年６月、モスクワ市生まれ。１９９６年、モスクワ国立法学アカデミーを卒業。ただちにモスクワ市弁護士会の修習生になり、１９９７年５月、弁護士資格を取得。１９９７年、デンマーク人権センターで研修。弁護士活動において人権擁護の国際的メカニズムを利用、国際擁護促進センターと協力 。１９９９〜２０００年、インドに対する戦争の容疑をかけられた５名のロシア人パイロットに対するカルカッタにおける訴訟のオブザーバーのひとりとして、カリンナ=モスカレ ーンコ弁護士らと救援活動にかかわり、釈放を勝ち取る。２００１年から、スパイの容疑をかけられたイーゴリ=スチャーギンの弁護に参加。有罪の評決を下した陪審団の中に、対内諜報庁の元職員が身元を隠して加わっていたことを告発。モスカレーンコとともに、欧州人権裁判所に対するスチャーギンの訴えにおける代理人を務める。
　アンナ=ポリトコーフスカヤの殺害 （２００６年１０月） に関与した容疑で訴追された被告人に対するモスクワ管区軍事裁判所における裁判に、モスカレーンコとともに遺族の弁護人として参加。 連邦最高裁における上訴審で、第一審の無罪判決を破棄することに反対の態度を表明。
　モスクワ弁護士会 「リプツェル、スタヴィーツカヤとパートナーたち」 に所属。

  ゾーリキン、ヴァレーリー = ドミートリエヴィチ 〔ЗОРЬКИН Валерий Дмитриевич〕
　連邦憲法裁判所長官

  １９４３年２月、沿海地方オクチャブリ地区のコンスタンチンノフカ生まれ。１９６４年、モスクワ大学法学部卒業。１９６４〜６７年、同学部上級講師。１９６７年、モスクワ大学において、学位論文 「国家と法についてのБ.Н.チチェリンの見解」 で法学准博士号を取得。１９６７〜７９年、助教授。１９７０年、ソ連邦共産党に入党 （１９９１年まで）。１９７８年、ソ連邦科学アカデミー国家と法研究所において、学位論文 「ロシアにおける実証主義的法理論 （歴史的=批判的研究）」 で法学博士号を取得。１９７９〜８６年、ソ連邦内務省アカデミー憲法および国家と法の理論講座教授。１９８６年から、ソ連邦内務省最高通信法律学院教授。１９９０〜９１年、ロシア共和国憲法委員会専門家グループを率い、ロシア憲法草案の起草に参加。１９９１年５月、「ロシア新聞」 に 「ロシアにおける大統領権力」 と題するユーリー=ルィシコーフとの共同論文を発表し、議院内閣制、大統領制、半大統領制を比較したうえで、大統領が執行権の長となる大統領制を主張。１９９１年８月、「国家非常事態委員会」 によるクーデタのさい、その違憲性を指摘した憲法委員 会委員と専門家の声明に署名。
　１９９１年１０月、第５回人民代議員大会において、「民主主義をめざす共産主義者」 会派の提案により、最多得票で連邦憲法裁判所裁判官に選出され、１１月、最初の会議で初代長官に選出される。１９９２〜９３年の憲法危機に際して、大統領と議会とのあいだで各種の調停工作 に従事。９３年９月、「ロシア連邦における段階的憲法改革について」 の大統領令を違憲とする憲法裁判所の意見が出されたさい、多数意見グループに。そのあと、大統領と議会の同時選挙による収拾を主張。１０月、エリツィン大統領側による議会の制圧ののち、長官を辞任。１２月、憲法裁判所、政治活動への参加を理由にゾーリキンの職務を停止。１９９４年１月、権限を回復。３月、ジュガーノフ・ルツコーイなどとともに、「ロシアの名による合意」 運動の組織委員会の声明に署名。憲法裁判所の活動再開にともない、政治活動への参加を中止。
　２００３年３月、裁判官の互選により、再び連邦憲法裁判所長官に選ばれる。　

　ゾロトゥーヒン、ボリス = アンドレーエヴィチ 〔ЗОЛОТУХИН Борис Андреевич〕
　弁護士

　１９３０年７月、モスクワ生まれ。１９５２年、モスクワ法科大学を卒業。１９５２〜５９年、モスクワの検察庁で取調官、検察官を務める。１９５９年、弁護士に転じる。１９６６〜６８年、モスクワ市弁護士会の法律相談所長。いわゆる反ソ宣伝の容疑で訴追された 「４人の訴訟」 （ギンズブルグ、ガランスコーフ、ドブロヴォーリスキー、ラシコヴァ） においてギンズブルグを弁護し、無罪を主張。１９６８年、モスクワ市弁護士会とソ連邦共産党から除名される。１９６８〜８８年、モスクワの建設組織で法律顧問として働くとともに、権利擁護運動に参加。１９７７年、ソ連における腐敗と闇経済についての原稿の準備に参加し、ソ連 邦共産党から再び除名される。モスクワ=ヘルシンキ=グループに参加。
　１９８８年、モスクワ市弁護士会に復帰。１９９０〜９３年、ロシア共和国人民代議員、最高会議代議員。最高会議立法委員会議長代理。憲法委員会委員。「民主ロシア」 会派に参加。１９９０年７月、５４名の代議員のソ連共産党からの脱退声明に署名。９１年１０月に最高会議が採択した 「司法改革の構想」 の起草グループを率いる。１９９３〜９５年、第１期国家会議議員、会派 「ロシアの選択」 の議長代理、国家会議立法=司法改革委員長代理。「ロシアの民主的選択」 政治評議会員に選ばれ、１９９５年の国家会議選挙では同党の候補者名簿に登載される。２０００年４月、創設された 「リベラルなロシア」 運動の５名の共同議長のひとりに選ばれる。２００２年、「リベラルなロシア」 党の共同議長に。ロシア=ユダヤ人会議社会評議会員。

　チャーイカ、ユーリー = ヤーコヴレヴィチ 〔ЧАЙКА Юрий Яковлевич〕
　連邦検事総長

　１９５１年、ハバロフスク地方ニコラエフスク-ナ-アムーレ生まれ。１９７２年、兵役からの復帰後、スヴェルドロフスク法科大学に入学。ユーリー=スクラートフ （元検事総長） と知り合う。 １９７６年、同大学を卒業。イルクーツク州ウスチ-ウヂンスク地区検察庁の修習生、次いで取調官、同州トゥリンスク地区間検事代理。１９７９〜８４年、東シベリア運輸検察庁運輸検事、取調部長。ソ連で初めて刑法典の 「匪賊行為」 により刑事訴追を行なったことで知られる。１９８４〜８６年、ソ連邦共産党イルクーツク州委員会行政機関部指導員。１９８６〜８８年、イルクーツク州検事第一代理、取調部長。１９８８〜９０年、ソ連邦共産党イルクーツク州委員会部長。１９９０〜９２年、東シベリア運輸検察庁検事。１９９２〜９５年、イルクーツク州検事。１９９５〜１９９９年、スクラートフ検事総長の提案により、ロシア連邦検事総長第一代理。エリツィン大統領によってスクラートフが停職にされたのを受けて、１９９９年４月〜８月 （７月？）、検事総長職務代行。１９９９年８月〜２００６年６月、ロシア連邦司法大臣 （スクラートフの後任の検事総長にはウスチーノフ）。在任中、身柄保全処分として勾留を定める規定が削減され、被拘禁者の人数が２０万人減少した、とされる。
　２００６年６月、ウスチーノフに代わってロシア連邦検事総長。

　パーシン、セルゲイ = アナトーリエヴィチ〔ПАШИН Сергей Анатольевич〕
　モスクワ経済=政治=法科大学教授

　　

　１９６２年１２月、モスクワ生まれ。１９７９〜１９８４年、モスクワ大学法学部、１９８４〜８７年、同大学大学院。１９８７年、「刑事事件における真実発見メカニズムにおける弁論」 で法学准博士号を取得。１９８７〜９０年、モスクワ大学法学部刑事訴訟講座助手。１９９０〜９２年、ロシア共和国最高会議幹部会事務局法律部主任専門 員。１９９１年１０月にロシア共和国最高会議が採択した 「司法改革の構想」 の起草グループに参加。１９９２〜９５年、ロシア連邦大統領府国家=法制局司法改革部長。１９９５〜９６年、国家会議事務局法制局長代理。この間、憲法裁判所法、裁判官の地位についての法律、陪審法などの法案を起草。
　１９９６年３月、モスクワ市裁判所判事。 ９８年４月、ある刑事事件で、結審と判決言渡しとのあいだの期間にサンプトペテルブルグでの会議に出席。５月、モスクワ市裁判官資格審査会、「合議の秘密｣ 違反などを理由に、罷免を決定。９月、連邦最高裁民事部、「合議の秘密｣ についてのパーシンの解釈は退けつつ、罷免は不適当として裁判官資格審査会の決定を取消す。９９年１１月、カルーガ州オブニンスク市裁判所、代替役務を認められず、兵役を拒否したネヴェロフスキーに自由剥奪２年を言渡す。パーシン、控訴審において、モスクワ=ヘルシンキ=グループ、「メモリアル」などの求めに応じ、一審判決に批判的な鑑定意見を書く。また、ラジオ放送 「モスクワのこだま」 に出演したさい、助言を求める市民の希望に応えて自分の電話番号を教える。２０００年１０月、オブニンスク市裁判所所長の申立てを受け、モスクワ市裁判官資格審査会が再びパーシンの罷免を決定。２００１年１月、最高裁判官資格審査会、パーシンの行動に非を認めず、市審査会の決定を取消す。しかし、モスクワ市裁判所へは復帰せず、退任。
　２０００〜０１年、青年大学（モスクワ人文=社会アカデミー）法学部助教授。２００１年から、モスクワ経済=政治=法科大学刑事法講座教授。 司法問題について発言を続ける。

　バスティルキン、アレクサーンドル = イヴァーノヴィチ 〔БАСТЫРКИН Александр Иванович〕
　ロシア連邦検察庁付置取調委員会議長

　１９５３年８月、プスコフ生まれ。 １９７５年、レニングラード大学法学部卒業。プーチン前大統領と同学年。１９７５〜７９年、内務機関で働く。１９８０〜８７年、レニングラード大学法学部講師、１９８８〜９１年、ソ連邦ｊ検察庁付属取調職員養成所長。１９９２〜９６年、サンクトペテルブルグ法科大学学長。１９９６〜９８年、ロシア連邦内務省北西管区内務部隊司令官代理。１９９８〜２００１年、 ロシア連邦司法省ロシア法律アカデミー北西分校長、２００１年７月、ロシア連邦司法省北西管区連邦管理局長。２００６年１０月、ロシア連邦検事総長代理。
　２００７年９月、新設された ロシア連邦検察庁付置取調委員会議長 ・ ロシア連邦検事総長第一代理に。検事総長と同様に連邦大統領の提案にもとづいて連邦会議によって任命される （したがって、人事上は検事総長からの独立性をもつ）。 ２００８年６月、チャーイカ検事総長、連邦登記庁モスクワ管理局長 （当時） アレクサンドル=ブクスマン （現連邦検事総長第一代理） が委員長を務める選考委員会がブクスマンの妻を公証人に選出した２００５年の事件を、刑事事件として捜査することをバスティルキンに禁ずる決定。２００９年３月、連邦最高裁、検事総長の命令は取調委員会の職員に対して拘束力をもち、検事総長は取調委員会議長の決定を取消す権限を持つ、と判断。

  ボールトニコフ、アレクサーンドル = ヴァシーリエヴィチ 〔БОРТНИКОВ Александр Васильевич〕
 連邦保安庁長官

  １９５１年１１月、ペルミ生まれ。１９７３年、レニングラード鉄道技師大学を卒業。レニングラード州ガッチナ市の企業で鉄道技師として働く。１９７５年、国家保安機関へ。ソ連邦国家保安委員会レニングラード州管理局防諜課勤務。２００３年、連邦保安庁サンクトペテルブルグ市=レニングラード州管理局長。２００４年２月、連邦保安庁次官 ・ 経済安全部長。２００４年７月、連邦保安庁経済安全局長。２００８年５月、連邦保安庁長官。

　ミズーリナ、エレーナ = ボリーソヴナ 〔МИЗУЛИНА Елена Борисовна〕
　国家会議議員

  １９５４年１２月、コストロマ州ブイ市生まれ。１９７７年、ヤロスラヴリ国立大学法学部を卒業。１９７７〜８５年、ヤロスラヴリ州裁判所相談員、上級相談員。１９９２年、ヤロスラヴリ国立大学法学部刑法=刑事訴訟講座助教授、次いで教授。２００４年２月、連邦憲法裁判所における国家会議代表。２００７年１２月、「公正なロシア」 から第５期国家会議員に。国家会議女性=家族=子ども問題委員長。

　ミルゾーエフ、ガサン = ボリーソヴィチ 〔МИРЗОЕВ Гасан Борисович〕
　ロシア弁護士ギルド会長

　１９４７年１２月、バクー生まれ。 １９６４〜６６年、バクー鉄筋コンクリート枕木工場。１９６６〜６７年、アゼルバイジャン共和国社会秩序保護省北東国境管理局。１９６７〜７１年、アゼルバイジャン国立大学法学部。 １９７１〜７３年、兵役。１９７３〜７４年、ザカフカース管区バラジャルスキー駐屯地軍事取調官職務代行。１９７５〜７７年、アゼルバイジャン共和国自動車道建設=利用省上級法律顧問。１９７７〜８７年、弁護士、バクー市第１３法律相談所長。１９８７〜８９年、モスクワ市国家仲裁官。モスクワ市国家仲裁委員会参与会員。 １９８９年、オルジョニキッゼ名称モスクワ管理大学を卒業。１９８９〜９１年、モスクワ市ソビエト執行委員会 法違反予防に関する企業法的援助モスクワ国家センター長、１９９１〜９３年、モスクワ政府モスクワ法律センター長。１９９３年から、弁護士会 「モスクワ法律センター」 幹部会議長。１９９４年から、 「モスクワ法律センター」 のように従来の弁護士会と並行して組織された弁護士会の会員弁護士を結集して結成されたロシア弁護士ギルドの会長。１９９５年、法学准博士号を取得。1９９８年、法学博士号を取得。 １９９８年から、ロシア弁護士アカデミー （現ロシア弁護士 ・ 公証アカデミー） 学長、同弁護士=公証講座主任。２０００〜２００３年、第３期国家会議議員、国家建設委員長代理。２００６年から、連邦弁護士院院長代理。２００５〜２００８年１月、連邦社会院メンバー。「統一ロシア」 党員。

　モスカレーンコ、カリンナ = アコーポヴナ 〔МОСКАЛЕНКО,Каринна Акоповна〕
　弁護士

　１９５４年２月、バクー生まれ。１９７６年、レニングラード大学法学部を卒業。刑事訴訟法のポリーナ=エリキンド教授から当事者主義、無罪推定について学び、弁護士となることを勧められる。１９７７年９月から、モスクワ市弁護士会のボリス=ズモイロ弁護士のもとで修習、次いで同弁護士会員に。１９９３年、人権擁護ロシア弁護士委員会に加入。１９９４年、バーミンガム大学でヨーロッパ法のコースを終える。人権擁護プログラムを実施する一連の国外組織で研修。１９９４年、人権擁護の国際的メカニズムを利用する弁護士を結集する国際擁護促進センターを設立。１９９７年、ストラスブールにおける国際法律家委員会の会議に３名のロシア人人権活動家のひとりとして参加。１９９９年、国際擁護促進センターが国際法律家委員会のロシア支部として認められる。１９９９年、ロシア連邦人権問題全権付置専門家評議会のメンバーに。同年、モスクワ=ヘルシンキ=グループに加入。２００２年、欧州連合のＴＡＣＩＳプログラムの長期専門家に。２００３年、国際法律家委員会委員に。２００６年度の国際ヘルシンキ連合賞を受賞.
　１９９９〜２０００年、インドに対する戦争の容疑をかけられた５名のロシア人パイロットに対するカルカッタにおける訴訟のオブザーバーのひとりとして、アンナ=スタヴィ ーツカ弁護士らと救援活動にかかわり、釈放を勝ち取る。２００１年、カラシニコフ対ロシア事件で、欧州人権裁判所におけるロシア市民の事件の聴聞に参加した最初のロシア弁護士 となる。同裁判所は、４年間の勾留は過度に長く、拘置所の拘禁条件は非人間的であり、よりふさわしい条件を作り出すための十分な資金の不足は訴えを退ける根拠とはならない、と判決。
　ミハイル=ホドルコフスキーの弁護団に参加。２００５年９月、最高検察庁、ホドルコフスキーの弁護団が訴訟を挫折させる目的で謀議を行なったとし （ホドルコフスキーとの合意にもとづき、モスクワ市裁判所における破毀審に出廷しなかった）、モスカレーンコは弁護士としての地位に適合しないと主張。司法省は、モスカレーンコの行為に違法性を認めず。２００７年、最高検察庁、ホドルコフスキーの防御権を侵害したとして、モスカレンコの弁護士資格の剥奪を発議。２００７年６月、モスクワ市弁護士院評議会、モスカ レ ーンコに対する懲戒手続の打切りを決定。
　アンナ=ポリトコーフスカヤの殺害 （２００６年１０月） に関与した容疑で訴追された被告人に対するモスクワ管区軍事裁判所における裁判に、アンナ=スタヴィーツカヤとともに遺族の弁護人として参加。 ２００９年２月の陪審団の無罪評決に対し、訴追側の立証が杜撰であり、無罪評決になるのもやむを得ない、と評価。

　モルシャコーヴァ、タマーラ = ゲオールギエヴナ 〔МОРЩАКОВА Тамара Георгиевна〕
　連邦憲法裁判所元判事

　１９３６年３月、モスクワ生まれ。１９５８年、モスクワ大学法学部卒業。１９５８〜７１年、ソ連邦科学アカデミー国家と法研究所大学院、若手研究員。１９６６年、学位論文 「ドイツ民主共和国の刑事裁判手続」 で法学准博士号を取得。１９７１〜１９９１年、全連邦ソビエト国家建設=立法研究所研究員、１９８９年、学位論文 「刑事司法の質の評価と組織の理論的基礎―手続的、統計的、社会学的アスペクト」 で法学博士号を取得。専門は、裁判権、刑事訴訟、司法の社会学と心理学、違憲審査制、比較法。モスクワ国立法律アカデミー教授。
  １９９１年１０月にロシア共和国最高会議が採択した 「司法改革の構想」 の起草グループに参加。１９９１年１０月、第５回人民代議員大会において、「無党派代議員」 会派の提案により、連邦憲法裁判所裁判官に選出される。９３年９月、「ロシア連邦における段階的憲法改革について」 の大統領令を違憲とする憲法裁判所の意見に反対し、少数意見。１９９５年２月〜２００２年４月、連邦憲法裁判所長官代理。 もっとも多くの少数意見を書いた４人の裁判官のひとり。２００２年、連邦憲法裁判所裁判官を退任、同裁判所顧問。
　連邦最高裁判所学術諮問評議会員、連邦大統領付置司法改善問題評議会議長代理、市民社会制度発展=人権問題評議会員。

　ルキーン、ヴラヂーミル = ペトローヴィチ 〔ЛУКИН Владимир Петрович〕
　連邦人権問題全権 （オンブズマン）

  １９３７年７月、オムスク生まれ。１９５９年、モスクワ国立教育大学を卒業。１９５９〜６０年、ソ連邦国立歴史博物館研究員。１９６０年、ソ連邦共産党員 （１９９１年まで）。１９６０〜６１年、ソ連邦革命博物館。１９６１〜６４年、ソ連邦科学アカデミー世界経済=国際関係研究所大学院生。１９６４〜６５年、世界経済=国際関係研究所研究員。１９６５〜６８年、「平和と社会主義の諸問題」 誌チェコスロヴァキア編集部上級調査員。１９６８年、ソビエト軍のチェコスロヴァキアへの侵入に反対して召喚され、１０年間 「出国禁止者」 として扱われる。１９６８〜８７年、ソ連邦科学アカデミー=アメリカ-カナダ研究所極東政策部長。１９８７〜８９年、ソ連邦外務省太平洋=東南アジア局部長、１９８９年、ソ連邦外務省評価=計画局部長、１９８９〜９０年、ソ連邦最高会議 事務局分析=予測班長。１９９０年３月、「民主ロシア」 からロシア共和国人民代議員に選出される。次いで、最高会議代議員に。選挙運動中は 「ヤヴリンスキー=ボルドィレフ=ルキーン」 連合を作り、当選後は 「ヤーブロコ」 に所属。憲法委員会委員。１９９０年６月、最高会議国際問題委員長、最高会議幹部会員。旧連邦構成共和国との条約の準備に従事。１９９１年、ソ連邦外務省参与会員。１９９２年２月〜１９９３年９月、駐米ロシア大使。１９９５年１２月、「ヤーブロコ」 から第２期国家会議議員に当選。国際問題委員長。１９９９年１２月、「ヤーブロコ」 から第３期国家会議議員に当選。社会団体=宗教団体問題委員。国家会議議長代理。
　２００４年２月、プーチン大統領の提案にもとづき、国家会議によってロシア連邦人権問題全権に選出される。それにともなって、「ヤーブロコ」 の党員身分を停止。連邦国防省と協力協定を結び、「兵士の母」委員会の批判を受ける。

　レズニク、ゲンリ = マルコーヴィチ  〔РЕЗНИК Генри Маркович〕
　モスクワ弁護士院院長

　１９３８年５月、レニングラード生まれ。 １９５７〜５９年、タシケントの中央アジア国立大学法学部で学ぶ。１９６２年、カザフ国立大学法学部を卒業 （卒業論文 「法的推定について」）。１９６２〜６６年、アルマアタの地区内務管理局取調部の取調官。１９６９年、ソ連邦検察庁の全連邦犯罪原因研究=予防策立案研究所大学院を修了。学位論文 「ソビエト刑事訴訟における内的確信にもとづく証拠評価について」 により、法学准博士号を取得。１９６９〜８２年、同研究所に勤務。１９８２〜８５年、全連邦司法職員研修所研究室長。この間、『防御権』 （１９７６年）、『証拠評価における内的確信』 （１９７７年）、『いつ責任が発生するか』 （１９７９年）、『憲法上の防御権』 （１９８０年）などを著す。
　１９８５年、依頼人に対する贈賄の教唆と依頼人の金の詐欺的横領を理由として取調官ヴラヂーミル=カラターエフの組織した 「ポグロム」 （いわゆる 「カラターエフシナ」） にさいして、訴追された弁護士を弁護するためにモスクワ市弁護士指導部によって招聘され、同会会員となる。１９９０年、モスクワ市弁護士会幹部会員、１９９７年、同幹部会議長。２００２年１１月、新弁護士法にもとづいて設置されたモスクワ市弁護士院の院長。連邦ロシア弁護士同盟副会長。国際弁護士同盟副会長。国際弁護士同盟弁護士研究所長。ロシア科学アカデミー国家と法研究所付属法科大学弁護士講座主任。
　スパイ容疑を受けたアレクサンドル=ニキーチンとグルゴーリー=パシコ、ポルノグラフーの流布で訴追された作家のヴラヂーミル=ソローキン、企業家ヴラヂーミル=リャーシェンツェフ、ヴラヂーミル=グシンスキー、ボリス=ベレゾフスキーなどの弁護人を務める。民事事件では、ボリス=エリツィン、エゴール=ガイダール、アナトーリー=チュバイス、アレクサンドル=ショーヒン、アンドレイ=シニャフスキー、ロベルト=ロジェストヴェンスキーらの代理人を務める。モスクワ市裁判官資格審査会によって罷免 （１回目） されたセルゲイ=パーシンを、連邦最高裁における審理のさいに擁護。
　１９８９年、モスクワ=ヘルシンキ=グループ会員。１９９６年、ロシア=ユダヤ人会議幹部会員。２００５年１１月、ロシア連邦社会院メンバー。同院の法秩序維持機関等の活動に対する社会的統制委員会委員。２００８年１２月、社会院の活動の一環として、政治的犯罪を陪審制の適用除外にする法案を批判する意見書を起草。

  レーベヂェフ、ヴャチェスラフ = ミハイロヴィチ 〔ЛЕБЕДЕВ Вячеслав Михайлович〕
　連邦最高裁判所長官